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花saku次号予告
 

編集長Q&A


Q. コートと羽織のTPOについて教えてください。素材や丈、柄行きなど、どのように着分けていくと良いのでしょうか。

A いずれも防寒の要素をもちながら、決定的な違いは大雑把に言うと室内に入る際に脱がなければならないのがコート、着たままでも構わないのが羽織(茶室以 外)ということでしょうか。また羽織の方がよりおしゃれの要素が強く、絵羽羽織や小紋羽織と表地はもちろん、羽裏や羽織紐を楽しむことができるのも楽しい ところです。紅葉が色づいたら桜が咲くまで羽織を楽しみたいものです。丈は年齢や身長、体型によって好みで良いでしょう。長くなればなるほどクラシックな 雰囲気ですが、とてもラインが美しいきものの膝裏を隠してしまうのは勿体ないような気がします。
 コートの代表的なものは雨ゴートなど特定の目的を持ったものを除けば道行コート、道中着の2タイプですが、きものや帯が透けて見える薄物やウール、紬、ビロードのものもあり、いずれも室内では着用できません。きものの格や外出先によって素材や色柄を選ぶと良いでしょう。

Q 30代前半ですが、上司の仲介でお見合いをすることになりました。今どきのお見合いですので、親の付き添いなしでレストランで食事をする程度のカジュアルなものなのですが、着物を着ようと思っています。あまり格式張らずに、かといってカジュアルにもなりすぎない着物は? コンテンツ編集

A いろいろとお持ちでしたら一番好きなきものをお召しになってみてはいかがでしょうか?
正式なお見合いということですと振袖か訪問着をお薦めしますが、ある程度カジュアルということでしたら、ご自分が最も美しく自分らしく見えるきものをお選びになることをお薦めします。若々しく華やかな小紋などはいかがで しょうか?
ただし、相手の方の装いとあまりにもギャップが大きいとご本人も辛いでしょうし、相手の方もお困りになると思います。可能なら事前にレストランの格とお相手の服装を確認してはいかがですか?

Q 足袋を買うとき、靴と同じサイズのものを買っていますか? 私の場合、足袋によっては靴と同サイズでも小さくてツメの部分がかからなくて窮屈な思いをしたり、同じサイズ表示でも大きいものに当たったときは、指先が余ってフカフカしたりします。 コンテンツ編集

A 私は足が普通なのか? 鈍感なのか分かりませんが、どれもそんなに不自由ではないので適当に履いていますが、いずれにしても履いてみないと分からない ことですから、ちょうど良いのが決まるまではまとめ買いをしないことが大事です。一足ずつ試して、ご自分に合う銘柄を探すことでしょうね。ご予算があるよ うでしたら、オーダーで足のサイズに合わせて作ってくれるお店もあります。インターネットで探せば見つかるはずです。どうしてもオーダー可能の店が見つか らない場合は編集部へ直接お電話をください。(和の生活マガジンSakura 編集長)

Q 紅葉の柄のきものや帯、羽織をまとうタイミングは、いつごろからが良いでしょうか。桜のきものが桜の花が咲くまでが粋とされるように、紅葉のきものも、紅葉前線が到来する前に着るほうが粋なのでしょうか。ということは今ごろから?ちなみに私は首都圏近郊に住んでいます。

A  秋分を過ぎたら、少しずつ秋の色柄を取り入れて良いのではないでしょうか。でも、あまり厳密に考えてお召しになる期間が限定されすぎてしまうよりは、気楽 にどんどん楽しんだ方が良いと思います。夏でもレース素材や紗の羽織をお召しになっていいんですよ。基本は、ご自分の体感と好みで着たいときに着たい物を 着る! です。ただし、正装、礼装以外は……ということですが。紅葉のきものは、日本のどこかが紅葉している間はぜひお召しください。袷の羽織はまだ暑い のではないかと思いますが、十月の声を聞けば、羽織が楽しい季節です。脱ぎ着で羽裏を見せるのも楽しいので、そろそろですね。

Q 着付けは母から教わりましたが、ほぼ自己流です。雑誌のモデルさんが着ているような、シワ一つないきものの着方って、私にはなんか窮屈そうに見えます。TPOはあるとは思いますが、やっぱり、きものは、着付け教室に通ってそういうふうに着るのが良いのでしょうか。

A 個人的には、布ですからシワはあっても良いと思います。私も自己流で着付け教室へ通ったことはありませんが、自分で色々と研究をして、快適で自分らし い着方になっているんだと思います。要は崩れ方やシワのよりかたの問題かもしれませんね。身体は直線ではなく、そこに直線裁ちのきものを纏うのですから当 然シワはよります。シワよりも、必要以上に衣紋を抜いたり、衿の袷がフォーマルなのに開きすぎていたりというだらしない感じにならないことに気を遣った方 が素敵だと思います。色々な人の着姿を研究するのも楽しいですよ。和の生活マガジンSakuraの「街で見かけたきもの美人」のコーナーはそういう意味で 大人気なんです。プロのモデルにプロのスタイリストが着付けた姿ではなく、普通のきもの美人さんたちがそれぞれ、個性的な装いを披露してくれています。参 考になさってください。

Q 単衣のきものについて教えてください。単衣の場合、裾よけの素材は何がおすすめですか? 単衣のきものは、足さばきが悪くていつも困っています。

A   裾よけの素材は着るきものや、その日の気温、湿度などによって選んでいます。例えば、きものが片貝木綿などのような滑らない素材だとすると裾よけはツルツ ルしたものが良いでしょうし、江戸小紋のようにツルツルしていれば、ちょっと汗ばむ陽気の日など、まだ絽の裾よけでも大丈夫です。私は暑がりなので、よく 滑る素材で透けないときはステテコやキュロットタイプのみという場合もありますし、滑らない素材の時にはあらかじめ仕立ての段階で居敷当てを付けておいた り、胴抜きで仕立てる場合もあり、きものの素材によって仕立てを工夫しておくのも歩きやすくするコツではないでしょうか。

Q ぜひ、自分で紬のきものを一枚誂えてみようと思っています。大島紬、結城紬、久米島紬もいいなぁ~と迷っています。この3種類の紬の中でしたら、最初の一枚目としては、どれがおすすめですか?

A どれも、高級なすばらしい紬ですのでよ~くご覧になって、お店の人の話をよく聞いて、自分が好きな物をお求め下さい。どれも一生物です。大島紬は生糸 ですのでツルツルとした感じと光沢が魅力ですね。結城紬と久米島紬は真綿ですので、素朴な風合いが魅力です。大島紬と久米島紬は泥染による泥媒染が特徴。 テーチ木(車輪梅)や、特に久米島の場合は地元に自生する草木を使用していますので自然志向の方にはお薦めかも!? 久米島紬は砧打ちをしますので、結城 紬より光沢があります。一方結城紬は日本最古の型の「地機」で、経糸に余分な張力をかけることなく織り上げる独特の風合いが最高の着心地をもたらしてくれ ます。個人的に私は結城紬派で、単衣か胴抜きで着て、着て、着て、3回か4回洗い張りをして地風が柔らかくなった頃に袷にするわけですが、5年に一度洗い 張りをするペースだとすると、最高の着心地になるまでに20年前後かかるわけですから早く求めた方がいいかもしれないですね。

Q 夏でも外出はきものです。でも、身体が固くて、背中に手を回す帯結びがなかなかうまくできません。「つくり帯にするといいよ」と友人にアドバイスされましたが、大切な帯を切る勇気はまだありません。私のような悩みを持っている方は、けっこう多いと思うのですが、よい方法を教えてください。

A   和の生活マガジンSakuraでもおなじみの「楽詩帯」は帯を着ることなく、作り帯のセットが出来るのでお薦めです。また、帯を切らない作り帯も最近では あるようですので、行きつけの呉服屋さんなどに訪ねてみてはいかがでしょうか。また、前結びをしてから後ろにクルッと回す着付けもあります。ツルツルした帯板を使うので後ろに回しやすいようです。洗濯ばさみを使って、事前に帯をセットしておく結び方や、枕の上部分が輪になっていて、あらかじめ底に帯を通し ておくらくな結び方もあります。色々ありますので、ご自分に合った結び方を見つけて着物ライフを楽しんで下さい。

Q この時季、コートやショールを身につけて出掛けますが、いつも、脱ぐタイミングや脱いだ後の始末で迷います。例えば、和食レストランでお座敷に上がるとき、友人の家に訪問したとき、歌舞伎などの観劇のときなど。また、帰りに着るタイミングも教えてください。

A  コートやショールは、洋服と同様に、入退室前に脱ぎ着するのがマナーですが、あまりにも寒い場合や、公共施設(歌舞伎など)ではコートやショールを羽織っ てから外へでるのもやむを得ないでしょう。玄関先でコートを羽織る場合は「失礼します」のひとことを。ちなみに、羽織であれば着用したまま室内へ入れます から、脱ぎ着が多い予定の日は、羽織を活用してみると良いでしょう。

Q 今年の春に結婚したばかりで、この夏、初めてお盆に夫の田舎に帰省します。お墓参り用に、きものを持っていこうと思っていますが、どんなきものが良いでしょうか。

A ご先祖様への初めてのご挨拶ですから、きもので……というのは本当に素敵なことだと思います。ただ、お墓の様子をよくご主人やお母様に聞いておいてくださ い。周囲がジャージやもんぺなのに自分だけ「きもの」となると浮きまくり!? になる可能性もありますし、「お墓参り」が「お掃除」メインの場合は率先し て働きたいところです。きもので大丈夫なようでしたら縮や紗のきものに羅や原始布の帯と言った涼しげでカジュアルな装いはいかがでしょうか? 日傘をお持 ちになるといいですね。

 8月下旬に1週間、パリ旅行することになりました。レストランでのディナーや、オペラなどの観劇用にきものを持っていこうと思います。どのくらいの格のきものを持っていけばいいでしょうか。

A 団体旅行ならば、本当にフォーマルなところへは行かないと思いますし、外国ではたとえ浴衣でもドレスのように扱って下さるところもありますので、お気 に入りのきもので大丈夫です。ただ、行き先をよく確認して下さい。多少、格の高いところへ行くようなら絽の付下げや小紋をお薦めします。ヨーロッパでは友 禅などの染のきものを着ていると大変評価が高く、周囲の反応も抜群です! ただし、荷物が多くなるのも避けたいところですから、帯を半幅にするとか、下着 を多少省くなどしてコンパクトにまとめたいですね。

Q 毎年、地元の花火大会にはゆかたで出かけるのですが、下駄履きが慣れていないので、疲れるし、足の皮はむけるし、帰り道はフラフラです。下駄を選ぶときのポイントを教えてください。

A  お値段次第ではありますが、あまり安価なものだともしかすると履きにくい物もあるかもしれません。とりあえず、鼻緒の太い物、足に当たる部分の柔らかい 物をお選びになると楽ではないでしょうか。歯のあるゲタは歩き方にコツがあり慣れないと足が痛くなるかもしれません。また「足が少しはみ出すくらいが色っ ぽい」とは言われますが、慣れていない人はあまり小さな物を無理して選ばない方が無難だと思います。新品の下駄を花火大会にお履きになるなら、履く前に鼻 緒を手でグッと引っ張って広げ、数日前から室内でスリッパ代わりに履いているとか、近所を散歩するなどして少し馴らしておくことをお薦めします。

Q 汗取り襦袢を着て出かけたら、汗取りパットの形に合わせて汗疹ができてしまいました! あと、帯を巻いたおなか周りにも! きものへのシミは防げましたが、これでは次に出かける気になれません。夏はどんな下着がいいのでしょうか?

A 普段から洋服の時でも着用しているキャミソールは綿で、とてもよく汗を吸ってくれる上に、速乾性、通気性に優れているのできものの時にも愛用していま す。そのキャミソールが和装ブラ代わり。その上に「汗取り襦袢」を着用しています。きものの下に着る物は大切なきものや帯を守るためにも、吸汗性の高い物 をお薦めしますが、同時に通気性に富んでいないと汗がこもって汗疹になりますね。新品は一度水をくぐらせて糊をとっておくと吸汗性も、通気性も良くなるの で必ず洗ってから着用しています。

Q 友人の家の七夕パーティーに夫婦で招かれました。ゆかたでも良いと言われたのですが、パーティーなので、ゆかたよりもちょっとおしゃれをしたいと思います。どんなきものを着るのが良いのでしょうか。ちなみに夫は、夏大島を着ると言っています。

A 旦那様が夏大島をお召しになるなら、奥様も夏大島かそれに準ずる紬か絽の小紋がよいのではないでしょうか。彼や夫と出かけるとき、お友達と出かけるときには連れと格やテイストを揃えたいものです。

Q 今年のお中元は、親しい方には特に、きものを着て、直接、届けたいと思っています。どんな装いを心がければいいでしょうか。

A 「親しい方」が目上なのか、どういうご関係なのかにもよりますが……。お世話になった方、あるいは今もお世話になっている方に心を込めてお中元を届けるわ けですから絽の訪問着か付下げ、あるいは最低でも小紋をお召しになると良いでしょう。意外に雨の多いお中元の時季ですから雨対策を忘れずに。大きめのビ ニール袋や風呂敷、足袋の予備をバッグに忍ばせておくといざというときに慌てずに済みます。

Q 雨コートは二部式が良いと聞きました。それはなぜですか? また素材でおすすめがありましたら教えてください。

A 家を出るときには雨が降っていないけれど、これから降りそうな日は、上だけを道行きコートのように着用して出掛け、下は持って出て降り始めたら下を着用。 また、外出中ににわかに雨が上がったときには下だけを脱いでバッグにしまえば、きものの丈よりも長いコートを晴れている中ゾロゾロと着ている必要がなくな りますので、そのフレキシブルなところが好まれる理由でしょう。素材はコート地でよいと思いますが、この時季は紗などがおしゃれではないでしょうか?

Q 雨の日に出かける際、きものの裾に防水スプレーをかけても大丈夫でしょうか。

A  防水スプレーの性質や、きものの素材によってはかまわないと思いますが、部分的にスプレーをすると、万が一ずぶ濡れになったときなど、スプレーがかかって いない部分との境界線にかえって大きなシミが出来ることもあります。また使える素材を調べるのが難しいこともありますので、出来ればきもの専用のガード加 工をきちんとしておくことをお勧めします。最近のガード加工は風合いへの影響もなく優れているので、帯や半衿などにもかける人が増えています。

Q 夏は、「嘘つき襦袢」が良いと聞きますが、「嘘つき襦袢」とはどんな襦袢ですか?

A 身頃の部分が晒し、袖や裾が長襦袢の生地になっているので、この時季は汗を吸収してくれてとっても快適です。単衣のきものの季節ならば袖は単衣に、夏のき ものでしたら、袖を紗や絽、麻などにすれば、真夏でも着用できます。もちろん、汗っかきの方は、袖を袷にして冬でも着用することができます。

Q 私はものすごい汗っかきで、もう、6月くらいから、汗で帯までびっしょりになります。帯周りの汗対策を教えてください。  

A 京都の舞子さんに教えてもらいました。バストを覆うぐらいの位置で裾よけを巻いて、キャミソールのようにします。ちょうどその辺りに汗を抑えるツボがあって、汗を抑えられるそうです。肌着代わりにもなりますね。

Q きもので友達と食事会をしたのは良かったのですが、見事に食べこぼしをしてしまい油シミをつけてしまいました! すぐに呉服屋さんには持っていきましたが、今後、そのようなときに慌てないための応急処置を教えてください。

A ワイン、口紅、しょうゆ、ソース、そして油……、とにかくシミを付けてしまったら、まず乾いたティッシュで押さえて水分を取ってください。一般の方ができる応急処置はそこまでで、あとは、呉服屋さんを通してプロの悉皆屋にまかせるのが一番です。
このときに、いつ、何のシミをつけたかを伝えるのもポイントです。特に油性のシミの場合、目の前にあるおしぼりを濡らして、トントンとやってしまうと、プ ロでも落とすことができなくなってしまうことがあります。なるべく「いじらない」「こすらない」が、シミをきれいに取る一番の近道です。とにかく、一刻も 早く呉服屋さんへ持って行くこと!