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桐たんすの秘密
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これが実は、最大にして、最高の命題です。一般の人からしたら、それほど何度も買うものでも無し、そんなに詳しくなりたいというものでもありますまい。安心して収納できるものであればよいというところでしょう。
なんだか何百万円もするものもあるらしいが、通販だと数万円でも売っている。自分にとってたんすに何百万円も出す気はしないけども、だからといって2万円とか3万円でいいの? とまぁ、そう疑問を持つのが一般的というか私が他の業界の人間なら思うと思います。 2009年4月に、経済産業省で桐の植林に関与する会社の業務が出ていました。 実際のいわゆる桐を栽培している人たちにはまったく関係のないような話なのですが、桐を栽培するのだということを詐欺的手法の根幹にすえるような話なので、私たちからすると、きわめて腹立たしい話ですが、一方で、世の中にこの話に引っかかってしまう人がいるという現実があるわけで、そこにはたんすにするには何年ぐらいかかるとか、どのぐらいの量の木がないとたんすはできないとか、そうしたことは、普通まったく知られていないのだなぁ、まぁ当たり前です。 けども・・ 桐やたんすについて、いろんなことがごちゃ混ぜかもしれませんが、熱く語っていきたいと思います。 |
桐たんす。なんだかいいものらしいが、よくわからん②
だいたいからして200万円のものと2万円のものは、同じものではないんです。同じものだと考えるのであれば、値段の違いはどこにあるのだ? と、なってしまう。まったく違うものだと考えるほうが正しいし、そう考えなければ、普通理解を超えてしまうでしょう。 同じ素材で出来ていれば、同じものなのかとなります。ここはある意味悩ましいところですが、たとえばブランド物のバッグと買い物をしたときに入れてくれる紙袋と、中に荷物を入れて運べるという機能でいえば、なんら変わるところはありません。 ですが、通販であれなんであれベニアで出来ているものよりは数段優れているのです。ここは大事です。本来の桐箪たんすとしてはある意味困ったところですが、ベニヤで出来ているものよりは桐で出来ているものの方がずっと優れています。 通販で間に合わせに買うとしても、少なくとも最低限「総桐」と書いてあるものを買う。決して一部合板使用と書いてあるものには手を出さない。ここは最低限のところで重要なところです。 で、話は戻るのですが・・ 100万円もしたりするのは、それはそれで考え物。桐の木は、基本的に植林して丹精して育てる木。安い木ではありませんが、そんなにすごく高い木でもありません。そして職人さんが丹精して製作するたんすだから安いものではないけど、職人さんはそんなに高給取りでもありません。でも100万円ぐらいのたんすはありますが…… 一方で、2万円とか3万円とかで手作りはありませんよ。というかいわゆる職人さんの手作りは考えられません。数時間で作れなければ、材料費も流通経費もあるのだから出来ないですね。 手作業で2時間で出来たとして、それを手作りといえるのかどうかと考えなければなりません。 さて本題!! 「桐は何がいいの?」に続きます。 ● 桐たんす なんだかいいらしいが よく分からん-3へ!! ● 目次へ |
桐たんす。なんだかいいものらしいが、よくわからん③
桐の花咲くころ 前回、桐は何がいいの? については次回に!と書いておきながら、その話題は次回に譲ることにして季節の話題にすることにします。 桐の花は、東京であればちょうど、ゴールデンウイークのころ桜前線のようにだんだん北上していきます。桜から遅れること3週間ぐらいというのがひとつ目安ではないかと思います。 さて、画像は“会津の桐煮の花”。会津ではだいたい、5月20日以降ぐらいが見頃となります。花は紫色。藤の花と色合いは似ています。高速道路などを、(運転していて山の斜面に見える花が遠くではっきりしないなぁ……)は、藤であったり桐であったり。 特徴として、桐の花は上を見て咲くこと。そして葉っぱの上に花がある。なので、実は真下に行くとよく見えないのです。残念なことですね。そして桐が多く植わっているところはその木を切って使うことを念頭においています。枝を出さずに、まっすぐ育てようとしています。だから、花の位置はよけい高い位置になってしまいます。 まだ植えて日の浅い桐の木です。下のほうに枝があったらそこは節になるわけですし太い木になりません。桐は丹精こめて育てる木なんです。 遠くから眺める。ぼぉ~っと眺める。なんとなく伸びやかな気持ちになる。そうなれるのが桐の花見なのです。ビール飲んで春の日差しの中でごろごろする感じです。 家の前に植わっている桐の木もあります。昔から、娘が生まれたら桐の木を植えるといわれています。大きな桐の木に育っています。家族の気持がこもっているのでしょうね。 ● 目次へ |
桐たんす。なんだかいいものらしいが、よくわからん④
桐の木は 湿気に敏感に反応して 膨らんだり元に戻ったりを繰り返します。中の湿度を一定に保とうとします。 これはきものにとってもいいことですが なにもきものには限りません。 当社の桐たんすのお客様にはいろいろな方がいて和綴じの本箱とか刀とか葉巻とかいろいろなものを入れています。
宮内庁では古文書の収納に、郵政省では切手の原画の収納に外務省では条約の保管にお使いいただいています。
上のグラフは、たんすの引き出しの中に温度湿度計を入れて部屋の中にも温度湿度計を置き30分ごとに記録したものを グラフにしたものです。 季節は夏に向かうグラフで、部屋の中、といってもこれは店舗内ですので 、昼間はエアコンをかけて夜はエアコンを消します。ですから、湿度はかなりの変化をするのですがたんす引き出しの中の湿度は、ほぼ50~60%の中に納まっています。
こちらは冬に向かっています。湿度は下がる傾向にありますが、ここでも引き出しの中はほぼ一定の範囲内に納まっています。 これが桐の箪笥の良さです。桐の良さをいろいろに表現をして、いろいろな文章を目にすることとは思いますが、きものを入れるという収納に関して言えば 、ここのところが最大のポイントで他のことは本筋から派生するいろいろだと考えています。もちろん、桐の箪笥として販売しているものが 皆同等の働きがあるわけではありません。そこのところを見極めなければなりません。
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