「~もっと知りたい日本の衣装~ 折り目正しく きりりと袴」
今年も残すところあと半月足らず。師走も押し迫ってまいりました。
編集部はすでに2月号、3月号、4月号の編集、制作に追われていて
若干焦って参りました。
妙な暖かさのあった秋でしたが、いよいよ冬将軍もお出ましに!
暑がりの私もさすがに時々寒いです。(時々?)
今、風邪をひくわけにはまいりませんので、うがい手洗いうがい手洗いの毎日です。皆さま、お風邪など召されていませんか。
そんな中、ジャジャジャジャ――ン!
今年最後の『花saku』が上がってまいりました。
新春号にふさわしいおめでたい表紙に。
いかがでしょうか\(^o^)/
凜々しいこのお三方、実は、公益社団法人 宝生流の能楽師の皆さま。
真ん中の広島栄里子さんは、シテ方宝生流能楽師 広島克栄氏のご長女で、18代宗家宝生英雄氏、19代宗家宝生英照氏に師事し、各方面での公演や能の普及活動、愛好家へ指導と広くご活躍のプロの能楽師。もちろん、公益社団法人能楽協会の会員です。広島栄里子さんは人気連載「きものとわたし 第176回」にもご登場いただいてますので、本誌で詳しくおよみいただけると、女能楽師の道、志などをより深くご理解いただけると思います。
金剛流の金剛永謹氏には和の生活マガジン『花saku』の別冊ムック『京都往き』でお世話になりました。これまで多くの能楽師の皆さまにご登場いただき、先日の11月号でも観世流能楽師の分林道治氏が「きものとわたし」に登場してくださって、コシノジュンコさんのファッションとのコラボをはじめ、能の持つ伝統と革新について語って下さったばかりですが、宝生流の皆さまのご登場は花sakuでは初めてで、1月号では宝生流能楽堂での撮影もさせていただき、本当に有り難いことでした。
能の世界の皆さまは、礼儀正しく折り目正しくお目にかかる皆さまどなたもお優しい方ばかり。でも自分にはとても厳しい方が多いような気がします。広島栄里子さんも、妻として母として、そして能楽師として活躍している温かくお優しく、そしてご自身には厳しい方でした。
さて、近年の和ブームで広がりつつある、若い方の和装。特殊な衣装、通過儀礼以外見かけることの少なかった袴姿でしたが、最近、すてきな姿を見られる機会が増えてきています。
また、先日のノーベル賞授賞式ではなんと!
川端康成先生以来の医学生理学賞の本庶佑先生のきもの姿(紋付き袴)が話題に。
でもって、ちょっと前には、今、女性たちを虜にして止まない羽生結弦選手の 仙台市 「政宗公生誕450年記念」での袴姿のポスターも話題になりましたよね\(^o^)/何を隠そう、仙台は袴の「精好仙台平」の産地。人間国宝の先生が袴地を織っていらっしゃいます。
ということで、袴萌えした編集部一同渾身の袴特集となりました。
特集では紋付き羽織袴、五歳の祝儀、御召袴、夏袴、武道袴、野袴、大学卒業式や小学校卒業式などの女袴、衣装屋仕事着としての袴、お稽古着の袴などなどなど、徹底的に袴を掲載。「長崎くんち」の黒紋付きに山高帽、紺色の半衿などや、ビジネススーツ代わりのウールの仕事着までちょっと変わったタイプの袴までたくさん掲載しました。
白無垢姿ばかりが注目されてしまうのは仕方ない。花嫁さんキレイです。
でも、花婿さんの袴姿もキリリとステキ\(^o^)/
もちろん、色気たっぷりの大人女子も、大人メンズもたくさん登場する
「街でみかけたきもの美人」ページもお楽しみに。
男の着物では第一人者の早坂伊織さんも、ご自身がモデルを務めていただき……ながら、男の袴の魅力や楽しみ方を存分につたえてくださっています♪
『日本全国染織探訪』では、全国(全世界!?)95%以上のシェアを誇る山形県米沢市。袴専門の織元「福田織物工業」さんを訪ねました。座ればふわりと美しハリ感を見せ、立てばストンと自然に落ちる袴地。定番だけで200種類もあるというから驚きです。自らも、能楽を嗜まれる三代目の福田社長さんに、袴の奥深さを伺いました。
そして、装賀きもの学院の安田多賀子先生が着付けや仕立てのご指導をしてくださる「きもの塾」ではもちろん、袴の着付けについて詳しくご説明!成人式、卒業式でなくたって、お正月の書初め、かるた大会など機会はいろいろ。裾のみだれも気にしなくてよく、防寒にもなる袴。華やかな小紋、小振袖などと合わせて初詣に着てみてはいかがでしょう
安田多賀子先生は、装賀きもの学院の院長で、もうかれこれ30年以上ご指導いただいている大先生なのですが、気さくに優しく、誰にでも分かりやすく教えてくださるのがとても有り難いです。
着付け学院のトップですが、仕立ての腕も超一級。
そして、小笠原惣領家三十二世直門礼法講師で、小笠原家茶道古流師範です。
さらに、全日本きもの振興会の専任講師や、NPO法人和の未来の理事長など、たくさんの要職に就いていらっしゃいますが、中でも、衣紋道高倉流たかくら会中部道場の会頭も務めていらっしゃるという頼れる師。
高倉流と言えば……
平安時代に「柔装束(なえしょうぞく)」として生まれた宮廷装束が、平安末期に地の厚い絹織物の「強装束(こわしょうぞく)」へと変化していき、それ身に着けるには、独特な技術が必要になりました。
その装束に関する技術や知識の集大成は「衣紋」と呼ばれます。
衣紋の創始者は、後三条天皇の孫で、白河天皇の寵愛を受けた源 有仁で、有仁は詩歌や書に優れ、『春玉秘鈔』などの著書は盛んに書写、伝来されて公事の参考にされました。
その有仁が創始したのが「衣紋道」。
鎌倉時代になると衣紋道は藤原氏の徳大寺と大炊御門(おおいのみかど)の両家に伝えられました。徳大寺の衣紋は山科家へ、大炊御門家の衣紋は髙倉家へとそれぞれ伝えられて、この両家が代々受け継ぎながら今日に至っているのが衣紋道なのです。現代の宮廷装束の着装法もこの衣紋道にのっとっており、平安末期以来の伝統を踏襲していることになると思うと、感慨深いものがありますね。
来年は天皇退位、即位と皇室行事がありますので、きものファンとしては、そうした行事の衣裳にも注目しながらこの時代に生きることの有り難さを噛みしめたいと思います。
ちょっと話しは逸れましたが、そんなわけで、めくってもめくっても袴。まためくってもめくっても(笑)袴満載のとっても楽しく(珍しい)奥深い内容ですので、ご興味のあるかたは、本誌で「袴のあれこれ」を心ゆくまでお楽しみ下さい。
花saku創刊40周年!
初めての袴特集でございます。
幅広い袴の魅力、歴史的背景などなど、徹底的に袴!を深掘りした、滅多にない(っていうか多分二度とない)
興味深〜〜い内容となっていますので、是非お読みいただけたら幸いです。
2020年のオリンピックへ向けて、
ますます「着物」「和装」に注目が集まる2019年1月号!
年の初めの1月号から年間購読をスタートしてみてはいかがでしょうか〜?
(花sakuは本屋さんでは売ってません)
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