卒、入学式の季節が来ます。
昭和の初期、出席のお母樣方は、申し合わせたように、黒無地紋入りの羽織を着ていました。
別名「クロッパ」とも呼ばれ、制作していた新潟十日町の会社は大もうけしたそうです。
普段着の、例えば小紋の上にでも黒羽織を羽織ればたちまち、略礼装に化ける、便利なしろものでした。
誰が始めたのかは分かりませんが、こういうことは大抵、呉服業者が普及させるのです。
普段着でも紋の入った黒羽織を着れば礼装になるんですよ、1枚は持っていたほうが、などと、奥様方に勧めたのでしょう。
彼らはプロと見られているわけですから、買うほうは納得してしまいます。
着物を着るひとが減ってからは、この慣例は廃れてしまいましたが、略礼装になる、という「決まり」だけは生き残っています。
ただ、入学、卒業式に出席する学生にはこのコーディネートは当てはまりません。
あくまで付き添いの範囲だけです。
Posted at 14:09