洋服にはない、着物の表現を、音から捉える、というのは、若い女性は知らないようです。
絹ずれの音、とは何か分かりますか?
絹の着物を脱ぐ時、畳に滑り落ちかすかに音がします。
あるいは、着付ける時、紐で整えている間にも独特の音が聞こえてきます。
昔のひとは、絹ずれの音がする、と表現しました。
化学繊維の洋服しか着ない時代になると、衣服が発する微妙な音は忘れ去られてしまいました。
情緒がなくなったのです。
先日、40代の男性が「妻が浴衣を脱ぐとき、博多帯を解くと、シュッシュッという音がして、なんとも気持ちよかった」と話してくれました。
ポリエステルではそんな音は出ません。
今度、正絹の博多帯を買い求め、音がするかどうか、注意して解いてみてください。
旦那様の前でね。
Posted at 14:21