よく受ける質問に、袖の柄の配置があります。
前袖に柄がある左見頃が陽で、ない方の右側は陰か、というもの。
左右に陰陽は関係ありません。
人間の身体で言えば、後ろ、つまり背中が陽の気が昇っていて唇で陰に変わって前へ下りて行きます。
前後に関係あるわけです。
着物が売れていませんが、消費者も業者もさまざまなことを言いたてます。
一番大きな理由は、着物は現代生活の場で着る必要がない衣服だから、なのです。
不便だし着るのに手間がかかるし洗濯も出来ない、では、着ないひとの方が多いのは当たり前でしょう。
でも、女というのは、どんなに不便で手がかかっても、お洒落着としてなら着ようとするはずです。
着て行く場さえあれば。
例えば議会で週に一度は議員全員で着物を着ること、伝統産業の技術を廃れさせないために、とか、着物を着ていればどんな乗り物も無料、とか、参観日は母親に着物着用を薦める、とかとかとか、着物を着なければならない理由づけを、誰かがすればいいわけです。
画像のベストは、歌手の青木リエさんのために制作したものです。
石持紋ー紋を入れる前の白い円ーの喪服地があったのでベストに仕立て、前胸に、着なくなった黒留袖から裾の柄を切り取って貼りつけました。
こくもちもんと読みます。
画像では見えないのですが、前裾両側には石持紋がそのまま来るように配置、陽は白いままで、陰は薄い灰色に色付けして、陰陽を表しています。前後に持って来なかったのは、それでは分かりにくいと思ったからです。
着物の凄い技術を持っている職人さんたち、着物制作ばかりに捉われず、洋服にもその技術を生かしたらどうですか? まずはヨーロッパでブレークしますよ。
Posted at 11:33