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第85回 きものの着付けと上手な紐使い

前回、衿合わせを決めて長襦袢を着ました。いよいよきものの着付けです。着ていて楽な着付けのポイントはなんといっても紐使い。これさえ修得すれば、きものはとても楽に動きやすく着ることができるのです。

モデル/大西愛友さん

 

7.帯を結んで完成です。


 

■安田先生のワンポイントアドバイス

「苦しくない紐使い」

Q.着崩れが怖くて、どうしても紐をきつく結んでしまいます。着ていてもきついのですが、どうすればいいのでしょうか?


A.同じ腰紐でもどこに何のために使うかで絞め加減が異なります。

裾合わせをして下半身が着崩れないようにするには、腰に締める紐はきつく締めたほうが安心です。ただし苦しくなるほど絞めないように。胸紐は大きく息を吸った時に絞めてみると腰紐との違いがわかると思います。

楽に着るコツは、肌に近い紐ほどゆったりと締め、肌から遠くなるごとに強く締めます。『肌襦袢の紐は次に絞 める紐までのためにある』くらいに思っていてもいいのです。それぞれの用途により使い分けるコツをマスターしましょう。また、紐を締めるときは背中で締め ます。伊達締めは幅が広いので、その分強く締めても苦痛にはなりません。
 
紐の絞め加減はご自身できものを脱ぐときに分かります。“どの紐をとったときに楽になったか”を考えてくださいね。

 

「紐の役割」

着崩れ防止にも 伊達締め代用にも

腰紐、胸紐、伊達締め、最後の帯締……着付けではさまざまな役割で紐を利用します。実は紐ははだけないようにする目的のほかに、紐を結んだ身頃の上下を分断する役割をもっています。したがって、身体を動かすことでおきる着崩れも紐で上下を分断していることで、着崩れを少なくすることができるのです。

紐使いが上手になれば紐を2段にして結び、伊達締めの幅と同じ幅にすることで、伊達締めがない場合でも着崩れを防ぐことができます。

 

また、その逆で、胸紐を使わず伊達締めだけで着るという達人もいます。

きもの姿の完成は、最後に結ぶ帯締です。帯締をしっかり結ぶことはきもの姿の総仕上げになります。「結び」はきものを着る上において重要な技術でしょう。